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なぜ紫外線対策は一年中必要なのか?光老化のメカニズム

多くの方が紫外線対策というと、日差しが強い夏のレジャーを思い浮かべるでしょう。しかし、肌の老化の約8割は、紫外線が原因で起こると言われています。この現象は「光老化」と呼ばれ、肌へのダメージは夏だけでなく、曇りの日や冬も含めて一年中蓄積されていきます。紫外線対策は、美肌を保つための「予防」として欠かせない習慣です。
☀️一年中降り注ぐ二つの紫外線「UVAとUVB」
地球に届く紫外線には、主にUVAとUVBの二種類があり、それぞれ肌に与える影響と降り注ぐ時期が異なります。

1. UVA(生活紫外線)
- 特徴:エネルギーは弱いものの、波長が長く、肌の奥*(真皮層)にまで到達します。
- 影響:真皮層にあるコラーゲンやエラスチンといったハリを保つ繊維にダメージを与え、シワやたるみ、弾力の低下といった「光老化」の主な原因となります。
- 年間を通じて:UVAは窓ガラスを透過しやすく、一年を通じて量が変わらず降り注いでいます**。そのため、オフィスや自宅にいる時でも、油断せずに毎日対策が必要です。
*「肌の奥」とは角皮層より下を指します。
2. UVB(レジャー紫外線)
- 特徴:エネルギーが強く、主に肌の表面(表皮)にダメージを与えます。
- 影響:メラニン色素を生成させ、シミやそばかすの原因となったり、肌を赤く炎症させたり(サンバーン)します。
- 年間を通じて:夏に最も強くなりますが、春先から増え始めます。
UVAのように窓ガラスを透過し、一年中降り注ぐ紫外線があるため、「今日は曇りだから大丈夫」「冬だから日焼け止めはいらない」という認識は、光老化を防ぐ上で大きな誤解となるのです。
🔑日焼け止めの基本:「SPF」と「PA」の正しい意味
日焼け止めを選ぶ際、パッケージに記載されている「SPF」と「PA」の数値は、それぞれ異なる紫外線に対する防御効果を示しています。
- SPF(Sun Protection Factor):主に【UVB】に対する防御効果を示す数値です。最大値は50+で、この数値が大きいほど、肌が赤くなるまでの時間を遅らせる効果が高くなります。
- PA(Protection Grade of UVA):主に【UVA】に対する防御効果を示す指標です。「PA+」から「PA++++」の四段階があり、「+」の数が多いほど、UVAを防ぐ効果が高いことを示します。
光老化の主な原因であるUVAから肌を守るためには、PA値が高いもの(PA+++以上)を選ぶことが、日常生活における年間を通じた対策として非常に重要になります。
目的に合わせた日焼け止めの「強さ」の選び方
日焼け止めは、数値が高ければ高いほど良い、というわけではありません。使用シーンに合わせて適切な強さを選ぶことで、肌への負担を最小限に抑えながら、最大の効果を発揮することができます。

シーン別SPFとPAの最適な選び方
日焼け止めは、主に「日常使い」「屋外活動」「レジャー」の3つのシーンに分けて選ぶのがおすすめです。

1. 室内での日常使い(通勤・通学、在宅勤務)
- SPF目安:10〜30程度
- PA目安:PA++〜PA+++
窓ガラスを透過するUVA対策がメインとなるため、PA値を重視します。肌への負担を考慮し、SPF値は低めに設定して、毎日心地よく使える軽いテクスチャーのものを選ぶと継続しやすいです。
2. 屋外での軽い活動(買い物、公園、屋外での仕事)
- SPF目安:30〜40程度
- PA目安:PA+++〜PA++++
日常的に外に出る時間が長い場合は、UVA・UVB両方への対策が必要です。日中の肌をしっかり守るために、PA++++を選びつつ、SPFは30〜40程度で十分な効果が期待できます。
3. 炎天下でのレジャー・スポーツ
- SPF目安:50+
- PA目安:PA++++
大量の紫外線と汗、水にさらされる場合は、国内最高基準値である「SPF50+、PA++++」を選びましょう。汗や水に強い「ウォータープルーフ」タイプを選ぶと、効果が持続しやすくなります。
🧴日焼け止めの「種類」によるテクスチャーの違い
日焼け止めは、使用感や肌への優しさによって、主に「紫外線吸収剤」と「紫外線散乱剤」の二つのタイプに分けられます。敏感肌の方は特に、この違いを知っておくとアイテム選びのヒントになります。

1. 紫外線吸収剤(ケミカル)
- 特徴紫外線を吸収し、熱などのエネルギーに変えて放出する仕組みです。
- 使用感:白浮きしにくく、伸びが良いため、使用感が良いものが多いです。
- 注意点:敏感肌の方の中には、まれに肌に刺激を感じる場合があるため、パッチテストを推奨します。
2. 紫外線散乱剤(ノンケミカル)
- 特徴:酸化亜鉛や酸化チタンなどの成分が、紫外線を物理的に跳ね返す仕組みです。
- 使用感:比較的肌への負担が少なく、敏感肌向けのものが多いですが、白浮きしやすい傾向があります。
- 注意点:「ノンケミカル処方」と記載されていることが多いため、敏感肌の方はこれを基準の一つにすると良いでしょう。
どちらのタイプを選ぶにしても、ご自身の肌質や使用シーン、そして毎日心地よく使えるテクスチャーかどうかを基準に選ぶことが、継続の鍵となります。
日焼け止め効果を最大限に引き出す正しい使い方
せっかく適切な日焼け止めを選んでも、使い方を間違えると、その効果は十分に発揮されません。特に重要なのは、「塗る量」「塗るタイミング」「塗り直し」の三点です。これらのポイントを抑えて、一日中肌を紫外線から守りましょう。

📏塗る量が少なすぎると効果は半減する
多くの人は、メーカーが推奨する量の半分程度しか日焼け止めを塗れていないと言われています。パッケージに記載されているSPFやPAの数値は、規定量を塗布した場合の効果です。量が少ないと、その防御効果は大幅に低下してしまいます。
- 目安量:顔全体に対して、クリームタイプであればパール粒2個分程度、液体タイプであれば1円玉2個分程度が目安です。
- 塗り方の工夫:一度に全量を塗ろうとせず、少量ずつを頬、額、鼻、顎の5点に分けて乗せ、ムラなく丁寧に伸ばしましょう。
- 重ね付け必須の場所:特に紫外線が当たりやすく、焼けやすい頬骨の上、鼻筋などは、最後に重ね付けをしましょう。
⏰「出る直前」ではなく「塗布後の浸透時間」を確保
日焼け止めの種類によっては、肌に定着して効果を発揮するまでに時間がかかるものがあります。
- 塗布のタイミング:外出する20〜30分前には塗り終えておくことが理想です。慌てて直前に塗ると、ムラになりやすかったり、服に付着してしまったりする原因にもなります。
- 朝のルーティンに組み込む:スキンケアの最後に、メイクアップベースとして組み込むことで、塗り忘れを防ぎ、習慣化しやすくなります。
🔁最も重要な「塗り直し」のテクニック
どんなに強力な日焼け止めでも、汗や皮脂、衣服やマスクによる摩擦で徐々に落ちてしまいます。効果を継続させるためには「塗り直し」が最も重要なポイントです。
- 塗り直しの目安:汗をかいたり、タオルで顔を拭いたりした場合はその都度、そうでなくても2〜3時間ごとに塗り直すことが推奨されます。
- メイクの上から:日中の塗り直しには、メイクの上から使えるスプレータイプ、パウダータイプ、またはクッションタイプの日焼け止めを活用しましょう。パウダータイプは、余分な皮脂を吸収してくれるメリットもあります。
紫外線対策は、夏の特別なケアではなく、一年を通じた「毎日の基本のスキンケア」です。日々の習慣に組み込むことで、将来の肌の健康を守り、光老化を防いでいきましょう。

